厚い=強いは勘違い。軽くて強い、畳みやすいボート布の真実
インフレータブルボートは、手軽に水上でのアクティビティを楽しめる素晴らしいアイテムです。
しかし、購入を検討する際、「どのボートを選べばいいんだろう?」「どんなことに注目するべき?」と悩む方も多いですよね。
カタログにはさまざまな情報が並んでいますが、その中でも特に大切なのは、ボートの性能を大きく左右する「船型」と「ボート布」です。
ジョイクラフトは、お客様に心から満足していただくため、この2点に徹底的にこだわってモノづくりを行っています。
船型については構造・デザインともに数多くのパテントを取得していますが、今回はインフレータブルボートの心臓部の一つともいえるボート布について、皆様に知っていただきたい知識と、ジョイクラフトが目指す理想のボート布像をお話しします。
日本のインフレータブルボートに求められる3つの条件
インフレータブルボートが日本で広く愛されるためには、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
私たちが考える「インフレータブルボートに必要な要素」は、以下の3つです。
- できるだけ軽いこと:持ち運びや準備が楽になります。
- できるだけ折りたたみやすいこと:収納や車への積載がスムーズになります。
- 十分な強度があること:高性能で、しかも安全に長く使えます。
ただし、この3つの要素は相反する関係にあり、すべてを高いレベルで満たすには非常に高い技術とコストがかかります。
だからこそ、私たちはこのバランスをどう取るかということに、並々ならぬ情熱を注いでいます。
軽いのに高強度!ジョイクラフトのボート布の秘密
「軽さ」を追求するには、ボート布を薄くするのが一番手っ取り早い方法です。
ただし、単純に薄くしただけでは摩耗に弱くなり、ボートとしての強度・性能も落ちてしまいます。そこで重要なのが、ボート布の「中身」です。
一般的に、厚みのあるボート布は厚みを出すために炭酸マグネシウムなどの「増量剤」を混ぜてかさ増しすることがあります。
しかし、これはボート布の材料であるPVC(ポリ塩化ビニル)コンパウンドの質を下げてしまい、結果的に耐久性や強度が落ちる原因になります。
そこでジョイクラフトでは、増量剤を極力減らし、PVCパウダーや高価な可塑剤(プラスチサイザー)を多く使うことで、「軽くて薄くて柔らかいのに、高強度」という理想のボート布を実現しています。
ボート布はけっして「生地が厚いから強い」わけではありません。
ボート布の強さを決めるのは、なんといっても素材の質。インフレータブルボートを選ぶ際は、正しい知識に基づいて製造された製品かをしっかり見極めることが大切です。
ボートの畳みやすさは「中身」と「織り方」で決まる
ボートを畳む際、「生地が硬くて片付けづらい...」と苦労した経験はありませんか?
PVC製のボート布は、寒いと硬くなる性質があります。しかし、高品質な可塑剤を多く使用しているボート布は寒い場所でもしなやかで、とても折りたたみやすいのが特徴です。
ジョイクラフトのボート布は、この高品質な可塑剤を贅沢に使用することで、いつでもスムーズに収納できる柔軟性を確保。
寒い時期でもしなやかさを保ち、楽に折り畳むことができます。
さらに、ボート布の「基布(きふ)」という土台となる布の織り方も、畳みやすさに大きく影響します。
通常、基布は細い糸で織られている方が軽く、より柔軟になりますが、単純に細いだけでは強度が保てません。
太い糸で20本×20本織った布と細い糸で40本×40本織った布の場合、強度は同じ程度でも、柔らかさと折りたたみやすさは後者が圧倒的に優れています。
ラポッシュとマジックマグシリーズは、これを象徴的に具現化したモデルです。
また、ジョイクラフトでは糸の密度を高めることで、強度を保ちながらも驚くほど柔軟なボート布を実現しました。
一般的に、1インチあたり23本×23本で糸を織るような場合でも、ジョイクラフトは26本×28本の高密度な基布を採用。
その結果、強度は0.9mm布に匹敵しながら、重さは約30%も軽い、驚くほどコンパクトに収納できるボートを完成させました。
ジョイクラフトが目指す、妥協のないモノづくり
なお、多くのボートメーカーは、市場に広く出回っている1ロール50mの入手しやすいボート布を購入してボートを作ることがほとんどです。
対して、ジョイクラフトは「お客様に最高のボートを届けたい」という一貫した想いから、日本の気候や国内ユーザーのニーズに真に応えるボート布を採用。
約7種類ものバリエーションから、各ボートの特性に合わせたボート布を適宜選定しています。
私たちが理想とする高品質なボート布は、やはり高価になりがちです。
また、ボート布を製造する際は、1ロット2000m(3mクラスのボート約200台分)程度の発注が必要ですが、これだけの量のボート布を1社で使い切るには大きなリスクとコストを伴います。
それでも、ジョイクラフトは一切の妥協をせず、「軽さ」「畳みやすさ」「強度」という3つの要素を高い次元で両立できるボート布を追求し続けています。
全商品に対し、こうしたこだわりを実現できるのは、日本国内で私たちだけではないでしょうか。
さまざまな意見があると思いますが、私たちはこれこそ「カスタマーオリエンテッド(ユーザー重視)でモノづくりを行う姿勢の表れ」だと自負しています。
ボートはただの道具ではなく、遊びや冒険の大切なパートナーになるものです。
だからこそジョイクラフトは、「持ち運びやすく、使いやすく、安心して楽しめる」ボートをお届けするために、見えない部分にも徹底的にこだわり抜いています。
まとめ
ボート布において、「生地は厚ければ強い」というのは間違いです。ボートの耐久性は厚みだけで決まるわけではなく、あくまで素材の質によって左右されます。
当社では、市場に広く流通している0.9mm布だけに固執することが、ユーザーにとって良いことだとは考えていません。
ジョイクラフトのボートは「軽さ・折りたたみやすさ・強さ」という相反する要素を、素材の質と緻密な設計によって高い次元で両立させています。これは、他社にはない、当社だけの大きな強みです。
お客様が心から満足できるインフレータブルボートとは何か。
それは、私たちが掲げる3つの条件を高いレベルで満たしたボートです。
ジョイクラフトはこれからもお客様に寄り添い、本当に必要とされるインフレータブルボートを作り続けていきます。
インフレータブルボートを選ぶ際は、ぜひボート布の質にも注目してみてください。
きっと、ジョイクラフトと他社製品との違いを感じて頂けるはずです。